NPO法人 むさしの里山研究会は、NPO法人 ノアに合併吸収されました。

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NEW 寄居発 – 里山速報 No.19

Written by 管理人 on . Posted in 新着情報, 里山速報

目次

ノアのレストランについての総括

先にお知らせしたように、家主さんからノアの建物を解体したいので退去してもらいたいとの連絡を頂きました。このため、本年末をもって撤退すべく荷物の整理を急いでいるところです。レストランはわずか16ヶ月の短い命で、最後まで赤字でした。外から見ると失敗と映るでしょうが、私は失敗とは思いません。以下私なりにノアのレストランについて総括したいと思います。

レストラン開設の経緯

ノアは10年前に、家主の内笹井さんのご好意により、無償で貸していただきました。里山保全活動を進める中、かねがね地域の人々の交流の場が、また活動拠点が必要だと感じており、そのような場所としてノアをコミュニティギャラリーとしてオープンしたのです。地域の方々の創作品の発表の場を介して、交流のきっかけを作ろうとしたのです。また、展示してくださった方を講師に、その講習会も行いました。その後のギャラリーとしての年次別のノアの利用状況は下表のとおりです。

年度 展示会の回数 講習会の回数 来訪者+講習会参加者
2004年 12回 24回 約750名
2005年 11回 0回 約450名
2006年 4回 2回 約300名
2009年 3回 3回 約100名
2011年 1回 3回 約50名

表のように作品発表者の減少とともに、来訪者も年々減少しています。利用者が少なくても、光熱水費、開催保険代などの維持費がかかり、ノアを運営することが困難な事態となりました。このため、ノアはお返ししようかとも考えたのですが、レストランをとおした交流の場として再チャレンジすることになり、昨年4月にレストランとして再出発しました次第です。

レストランの目的

当会は1999年に設立以来様々な活動を行ってきましたが、ここ数年は耕作放棄地の活用を主要な活動としてきました。その一方、活動を維持するための資金の調達も大きな課題となっていました。レストランは、耕作放棄農地で生産した無農薬の農作物を食材として活用する一方、レストラン収入によって活動費を調達することを目指しました。そして何より職をとおした交流の場とすることが目的ですので、コミュニティレストランと銘打ったのです。

目標の達成度

前述のようにレストランの目的は、耕作放棄農地の活用、活動費の調達、交流の場の提供の3つがあります。以下その達成度を自己評価してみます。

私たちは家主さんの所有する耕作放棄農地を無償でお借りし、田んぼや畑に復元して完全無農薬で栽培しています。農薬を使わないのは、私たち人間を含めた生き物のためです。これまで無農薬で栽培した野菜をノアの脇に作った無人の販売所で売っていました。ところが、虫食いだらけの野菜を売るのはためらわれますし、実際虫食いでは買ってくれませんでした。販売可能な虫害の少ない野菜はいくらも収穫できず、販売収入は微々たるものです。虫食いでも調理すれば問題ないし、結果として高く売れることになるでしょう。

このため、サラダ用野菜を中心に多品目の野菜を栽培し、当日の朝に収穫した新鮮、安全な野菜を食材にしました。もちろん、お米も当会で栽培したものを用いました(途中で足りなくなり、知り合いの農家の特別栽培米を分けていただきました)。

レストランをとおして、耕作放棄農地で栽培した農作物を食材として活用する、という目的は概ね達成できたと考えています。

次に活動費の到達ですが、昨年5月から今年の7月までの収支状況は次の表のとおりです。

項目 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
収入(円) 121,450 260,000 139,480 145,870 144,963 198,698 182,390
支出(円) 240,326 319,066 264,044 247,729 253,864 278,492 259,775
収支(円) -117,876 -59,066 -124,564 -101,859 -108,901 -79,794 -77,835
客数(人) 未集計 未集計 180 173 190 234 221
12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
181,193 122,910 167,016 170,085 221,746 234,055 179,745 282,123
242,733 237,316 276,198 314,121 294,496 294,948 285,305 289,991
-61,540 -114,406 -109,182 -144,036 -72,750 -60,893 -105,560 -12,132
215 161 189 197 263 300 211 333

表でみるとおり、開店以来毎月赤字続きで、資金調達どころか資金不足を招く結果となってしまいました。しかし、プロの経営者でも開店直後から黒字にするのは至難の技だと思います。この種の業界では当初の赤字は当たり前で、3年くらいやってみないと分からないのではないでしょうか。とはいえ、数字を見る限り資金調達の手段としてのレストランは、失敗と言わざるをえないでしょう。

交流の場としての評価ですが、この点に関しては及第点がもらえると思います。昨年4月からの来客数は月平均200名ほどですが増加傾向が認められ、5月と7月には300名台に達しました。ギャラリーとして運営していた頃に比べると、来客数は格段に増えました。開店以来店内備え付けのアンケート用紙に21名の方から感想が寄せられました。以下にそのいくつかを紹介しますが、これらを読むと涙が出るほど嬉しくなります。交流の場としての目的は達成したと実感します。

感想文

  • 今回2回目です。里山らしい雰囲気もとても良いですね。手作りが素敵です。今日のランチもおいしかったです。友人にも知らせます。ごちそうだまでした。また寄らせていただきます。(寄居町在住女性)
  • 初めて寄せていただきました。いつも前を通っていて気になっていたのですが、寄ってよかった。とても気持ちのいい作りですね。ランチもおいしかった。いつもこんな音楽がかかっているのかな。また寄せてもらいます。(岡部町在住男性)
  • 7月で閉店されるそうで残念。過去2,3階来ましたが、安くておいしく、スタッフも良い方たちで、時間をすごすのによかったのに残念です。(深谷市在住女性)
  • 今日で3回目のランチです。いつも美味しく、又次もノアさんに来るのが楽しみです。お店の雰囲気もよく、落ち着きます。ランチを作ってくださる方のお心遣いが伝わってきます。元気をいただき、あすへの活力につながっています。(西東京市在住女性)
  • 全体的に優しい雰囲気の中で、自然とゆっくりと過ごせました。料理の方も酢、レモン等をつかっていながら刺激がなく、やわらかい味わいがあって、とても美味でした。タルトも布地が柔らかく、フォークで軽く差し込んで食べることができました。また、具が味に負けない布地でほんのりした甘さが良かったです。このレストランに神様の恵がありますように祈っています。(寄居町在住男性)

最終的な評価

私としては経営云々以前に、レストランがオープンできたことが奇跡のように思われるのです。実はノアをレストランにしようとの提案を過去に何度も理事会に諮ったのですが、その都度秘訣されました。誰が食事を作るのか?客が来るのか?従事者の給料が払えるのか?レストラン開業資金はどうやって調達するのか?といあった不安材料が払拭できなかったためです。しかし、3年前にノアを返すかどうかという段階になったやっと、ダメもとでチャレンジしてみようとの同意がえられたのです。とはいえ、建物の改装を家主さんが承知してくれなければ、レストラン計画はスタートできません。快く応じてくださった家主さんのおかげです。寄付金を募り、ボランティア作業によって開店までこぎつけました。当会スタッフの仮屋さんをはじめ、本当に苦労してレストランらしい雰囲気に回想してくれました。スタッフを引き受けてくれる方も見つかりました。有難いことにシェフの日給は5千円、ホールスタッフは3千円というボランティア料金です。シェフの福井さんは薄給にもかかわらず、私が持ち込む野菜を色々工夫しておいしく調理してくれました。料理がまずければいかに安心安全をうたっても客は来ません。一人も客が来なかった日は1日しかなく、昨年の5月以降閉店までの来客数は2,652名になりました。これはノアを支援するため、たくさんの方が知人を誘って来てくれたおかげです。

先に示した収支表を計算すると、昨年5月以降の累積赤字額は130万円近くに達します。当会のような貧乏な会としては莫大な赤字です。にもかかわらず、何とか資金的には持ちこたえて今日に至っています。本当に不思議なことです。

私たちのレストランは、建物の提供者、寄付する人、ボランティア作業をする人、心を込めて客を迎えるスタッフ、客として支援くださる方、そして応援してくださった会員の皆さんの共同作業でした。それは、それぞれが役割分担すれば、不可能が可能になることを教えてくれました。レストランは里山保全のあるべきモデルを示したとも言えるでしょう。里山の自然は地域の人々の協力と互助扶助によって守られてきたのだと思います。それは社会が変化した今日も変わりません。次の課題はこうして得られた成果を、いかに次のステップにつなげるかです。そのステップとして役場へのノアの移転を検討しています。レストランの最終的な評価は、今後の活動にかかっていると考えます。

次年度の里山体験プログラムについて

里山体験プログラムは本年度で終了します。本プログラムは、当会設立以来子供たちに里山のすばらしさを伝えたいとの思いで実施してきたものです。その思いは今も変わらないのですが、私の体力と気力の低下から終了することを決断しました。しかし、ワンダースクールでの自然体験のお手伝いはしたいと考えています。次年度の体験プログラムにつきましたは、ワンダースクールの太田さんにお問い合わせてください。

1月までの里山体験プログラムについて

来年1月までの里山体験プログラムは下記の通りです。参加のお申し込みやお問い合わせは、下記の太田さんまでお願いします。キャンセル待ちのプログラムが多いようですので確認して下さい。
(TEL&FAX: 03-3921-6994 mail:s.o.wonderschool@coffee.ocn.ne.jp)

『野菜の収穫体験』

期 日 11月16日(土) 10時30分~12時
場 所 コミュニティファーム(ノアに午前10時30分集合)
内 容 サツマイモ、サトイモ、白菜、小松菜など畑にある好きな野菜を収穫してください。一人一枚ずつレジ袋を渡しますので、お土産にお持ち帰りください。
持ち物 長靴、軍手、弁当、飲み物など
参加費 一人1000円(1家族3人以上の場合は、1家族3000円)
雨 天 中止

『竹の焼却と竹細工作り』

期 日 12月26日(木) 10時30分~12時
場 所 ノアの裏山と庭
内 容 ノアの裏山にある枯れた竹をドラム缶で燃やしたり、青竹でコップや皿を作ってお土産にします。
持ち物 長靴、軍手、弁当、飲み物など
参加費 一人1000円(1家族3人以上の場合は、1家族3000円)
雨 天 中止

『田んぼで焚き火して焼き芋を食べよう』

期 日 平成26年1月18日(土)&25日(土) 10時30分~12時
場 所 両日ともたんぼ生き物公園(ノアの庭に午前10時30分集合)
内 容 田んぼでわらや枯れ木を燃やし、焚き火をしながら焼き芋を作ってほっかほかのお芋を食べます。お芋でお腹がいっぱいになると思いますが、心配な方はお弁当を持ってきてください。
持ち物 長靴、軍手、飲み物など
参加費 一人1000円(1家族3人以上の場合は、1家族3000円)
雨 天 中止

『凧作りと田んぼでの凧揚げ』

1月25日に予定していたのですが、ノアが利用できなくなるため中止にします。お申し込み下さった方には申し訳ありません。

ノアの移転について

レストランは無理でも、コミュニティカフェとして喫茶店はできそうなので、なんとかノアを移転したいと考えています。目下寄居町役場の1階のスペースを借りるべく役場と交渉中です!

簡単には貸してもらえないでしょうし、借りられたとしてもわざわざ役場にお茶を飲みに来る人は少ないでしょうから、経営は楽ではないと思います(数年前までは業者が喫茶店を営業していたのですが撤退しました)。しかし、私たちは行きを持ってチャレンジするつもりです。年内に借りられるかどうか分かる見込みですので、期待して待っています。

もし喫茶店ができるとすれば、私たちが無農薬で栽培している作物を素材とした、健康茶や発酵酵素ジュースをメインにした健康づくり喫茶にするつもりです。

発酵酵素ジュースの作り方

素材(果実野菜など)に同僚の重さの白砂糖をまぶし、攪拌して発酵を促し、数ヶ月以上熟成させます。

酵素とは

酵素は生命活動に不可欠なタンパク質で、消化酵素と代謝酵素とに大別されます。人間の体内には4千種類ほどの酵素があるそうです。1つの酵素はひとつの働きしかしないため、生命活動を維持するためには、多種類の酵素が必要になるのです。また、酵素はタンパク質であるため、50度程度以上の高温で変性し効果が失われてしまいます。このため、加熱調理することが多い現在の食事からは酵素が摂取しにくいのです。

酵素には体内でつくられる「潜在酵素」と食品中にある「食物酵素」とがあり、加齢やストレスなどにより酵素を作り出す能力が低下すると言われています。

これらのため、健康維持のためには外部からの酵素の摂取が必要になると主張され、今日の酵素ブームを招いているようです。

発酵とは

発酵は微生物(コウジカビ、酵母菌、乳酸菌など)の作用によって有機物が分解され、何らかの有用な物質が作り出される作用のことです。発酵させることにより、生ジュースにはない味わいと有効成分が生み出されるようです。

白砂糖を用いる訳

酵素ジュースを作るときに白砂糖を用いますが、それは発酵を促進するのに白砂糖が適しているためです。白さ等の取り過ぎが心配になりますが、発酵により白砂糖はブドウ糖と果糖に分解されるため、悪影響の心配はあまりいらないそうです。

酵素ジュースの効果について

問題は酵素ジュースが本当に健康に良いのかどうかということです。この点の情報を集めると、酵素を食物から摂取することが必要であると主張する研究者がいる一方、タンパク質である酵素を摂取しても、胃でタンパク質分解酵素により分解されてしまうため、効果が期待できないとする研究者もいることがわかりました。食物から取り入れた酵素の効果については科学的に実証されていないようです。しかし、昔からヨーグルトや漬物など発酵食品は健康に良いことが経験的に知られています。仮に食物の酵素が胃の中で分解されてアミノ酸になったとしても、そのアミノ酸から体内で新たな酵素が作り出される可能性もあるでしょう。また、発酵酵素ジュースの中には酵素だけではなく、ビタミンやミネラルのような助酵素(酵素の働きを助ける物質)、ポリフェノールなど老化の原因となる活性酸素の発生を抑える物質、ガンを抑止する物質、有効な微生物(善玉菌)が含まれています。現代の偏りがちな食生活において、発酵酵素ジュースを利用することは健康維持にプラスになると言えるのではないでしょうか。とはいえ、健康に良い面を強調しすぎると、薬事法違反が問われかねません。喫茶店ではその辺りの配慮が必要でしょう。

同封の書籍について

ノアを撤退するため荷物の整理を行っていたところ、同封の書籍が見つかりました。本書は出版社の依頼により執筆したものですが、草稿の段階で出版されてしまい、私としては不本意な出来で、買い取ったものの関係者に寄贈するのがためらわれていたのです。今回邪魔なので廃棄しようかとも思ったのですが、捨ててしまうのももったいなく、勝手ながら速報と一緒に送付させていただきました。ご迷惑でしょうが、受け取ってくだされば幸いです。かなり強引ですが里山保全に向けた熱き想いが詰まっています。

里山の生物多様性保全について

来年の2月頃、これまでの活動成果をもとに、里山の生物多様性保全に向けた提言書を発行する予定です。また、その後当会としては提言に即した活動を行うつもりです。里山の生物多様性を保全するためには、コアとなる広域的なエリヤを保全ゾーンとして維持管理するとともに、周辺に小規模であっても多くのビオトープを作ることが大切であること。そのビオトープは耕作放棄農林地の活用をすべきであること、コアゾーンを含めビオトープの管理には、モニタリング調査を行いつつ、状況に応じて行うことが肝要であることなどを提言するつもりです。また、この提言書には現在調査中のフィールドの生物生息状況についても掲載する予定です。

貧困な田んぼ生き物公園の生物

田んぼ生き物公園は耕作放棄水田を復元して、無農薬で稲を栽培したゾーン、ビオトープ池ゾーン、草地ゾーンとがあります。ここで毎年生き物調査をしているのですが、生き物があまり生息していません。水田は6月以降水を切らせないようにしているのですが、トンボは皆無に等しいほど発生しません。過去3年間赤とんぼの成長したヤゴを放しても羽化しませんでした。復田した翌年はおびただしい数のホーネネビが発生し、カブトエビも見られたのですが、昨年は激減し、今年はほとんど見られませんでした。その一方、コガムシとヒメガムシは毎年多数見られます。

ビオトープ池もショウジョウトンボ、シオカラトンボなどが連日飛来し、散乱が行われるのに、ヤゴはほんのわずかしか発生しません。

これまでトンボ池をいくつも作ってきたのですが、トンボの定着状況は場所による差が非常に大きいことを痛感しています。生き物の世界は謎だらけです。

26年度以降の活動について

平成26年度をもって法人を解散し、解散後は任意団体として活動を継続する予定だったのですが、役場が借りられると法人として喫茶店を運営します。このため、法人解散については今後の状況を見た上で判断することにします。

編集後記

今年は気象災害の多い年ですね。高温で推移したためか稲の作柄は良いようです。反面気温が高いため、10月半ばになっても害虫が多く、秋野菜の苗の生育が思わしくありません。殺虫剤を撒きたい衝動に駆られますが、我慢しています。

私は昨年12月にかかった帯状疱疹の後遺症の神経痛で毎日悩まされています。おまけに腰痛が慢性化し農作業がはかどりません。

1年ごとに体力が低下し、あと何年活動できるだろうか?と不安になります。でも先のことを心配してもどうにもなりません。与えられた状況の中で精一杯やるのみです。

今号ではノアのレストランについて、私なりに評価をしてみました。みなさんはどのように評価されるでしょうか?

早いもので今年も残すところ2ヶ月程になりました。年内にもう一度速報を発行する予定です。不定期な発行となりますが、可能な限りリアルタイムで活動状況をお知らせします。

寒さが増す季節です。皆様にはどうぞご自愛下さい。(Y.A)

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